こんにちは。今回は、2024年4月から変わる税務処理上の”控除“の仕組みについて、簡単にご説明したいと思います。
2024年4月から変わる税務処理上の”控除”の仕組みとは?
まず、控除とは何でしょうか?控除とは、所得税や住民税を計算するときに、所得金額から差し引くことができる金額のことです。控除が多ければ多いほど、税金が少なくなります。
控除には、基礎控除、所得控除、給与所得控除、社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除、住宅ローン控除、医療費控除、寄附金控除など、さまざまな種類があります。それぞれの控除には、適用条件や計算方法が定められています。
2024年4月から変わる主な控除
2024年4月からは、いくつかの控除が変更になります。ここでは、その中でも主なものを3つご紹介します。
1. 配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し
配偶者控除とは、配偶者がいて、その配偶者の所得が一定の金額以下である場合に、所得から38万円を差し引くことができる控除です。配偶者特別控除とは、配偶者控除の対象とならない場合でも、配偶者の所得が一定の金額以下であれば、所得から10万円を差し引くことができる控除です。
これらの控除は、2024年4月から以下のように見直されます。
- 配偶者控除の対象となる配偶者の所得の上限額が、103万円から150万円に引き上げられます。
- 配偶者特別控除の対象となる配偶者の所得の上限額が、140万円から150万円に引き上げられます。
- 配偶者控除の控除額が、38万円から48万円に引き上げられます。
- 配偶者特別控除の控除額が、10万円から12万円に引き上げられます。
これらの変更により、配偶者の所得が増えても、控除が受けられる可能性が高くなります。また、控除額が増えることで、税金が少なくなります。
2. 住宅ローン控除の見直し
住宅ローン控除とは、住宅を購入するために借り入れた住宅ローンの利子に相当する金額を、所得から一定の割合で差し引くことができる控除です。住宅ローン控除は、住宅の性能や借入金額、居住開始年によって、控除率や控除期間、借入金残高の限度額が異なります。
これらの控除は、2024年4月から以下のように見直されます。
- 住宅ローン控除の適用対象となる所得の上限額が、2000万円から3000万円に引き上げられます。
- 住宅ローン控除の控除率が、0.7%から1%に引き上げられます。
- 住宅ローン控除の控除期間が、13年から15年に延長されます。
- 住宅ローン控除の借入金残高の限度額が、住宅の性能や居住開始年に応じて、以下のように変更されます。
住宅の性能 | 居住開始年 | 借入金残高の限度額 |
---|---|---|
認定住宅(※1) | 令和4年・5年 | 5000万円 |
令和6年・7年 | 4500万円 | |
ZEH水準省エネ住宅(※2) | 令和4年・5年 | 4500万円 |
令和6年・7年 | 3500万円 | |
省エネ基準適合住宅 | 令和4年・5年 | 4000万円 |
令和6年・7年 | 3000万円 | |
一般 | 令和4年・5年 | 3000万円 |
令和6年・7年 | 0(※3) | |
中古住宅 | 令和4年・5年 | 3000万円 |
令和6年・7年 | 3000万円 | |
震災再建住宅 | 令和4年・5年 | 5000万円 |
令和6年・7年 | 4500万円 |
(※1)「認定長期優良住宅」および「認定低炭素住宅」のことを指す
(※2)ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、高断熱外皮(壁紙・窓など)で、LEDなど省エネ設備を使用し消費エネルギーを減少させ、太陽光発電によりエネルギーを創ることで、エネルギーの収支をゼロにしようとするもの
(※3)2023年末までに建築確認を受けている場合は、借入限度額2000万円・控除率0.7%・控除期間10年となる
これらの変更により、所得が高くても、控除が受けられる可能性が高くなります。また、控除率や控除期間が増えることで、税金が少なくなります。ただし、一般の新築住宅は、省エネ基準に適合していないと、控除が受けられなくなります。
税務処理には、様々な知識が必要ですが、更にその知識を常に最新のものにアップデートする必要もあります。
間違って申請してしまわないためにも、専門家の手を借りることも検討してみましょう。
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