オンラインサロンの参加ルールを定めるのは、単にオンラインサロンの紹介ページや、サロン内で、「○○禁止」と書くだけでは足りません。
利用規約という契約書のようなものを作り、新規で会員登録をした人に対して、「登録をもって、利用規約について承諾したものと見なします」などと、わかりやすい位置で予告しておかなければなりません。
契約とは、守らせることを法的に強制できる約束です。口約束でも契約は成立するのですが、普通は、契約書などの文章で証拠を残します。
皆さんの普段の買い物も、「売買」というれっきとした契約で、特別な手続きなく成立するのですが、レジで受け取るレシートが売買の証拠となります。
オンラインサロンの入会のように、ネットで完結するものは、面と向かって口約束をしていませんし、入会を目撃している証人もいません。それだけに証拠を文章で残しておくのが重要となるのです。
オンラインサロンの入会をきっかけに、メンバーが守らなければならないルールを、文章によってみんなでシェアしておき、「そんなルールは知らない」という反論を封じるのが、利用規約です。
利用規約が契約として有効であれば、その利用規約に違反したメンバーには「債務不履行」があったとして、損害賠償の支払いを求めたり、条件付きで退会を強制したりすることができます。
利用規約を法的に有効とするための条件
経済産業省が作成したガイドライン「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」によれば、利用規約が契約として有効になるための条件として、次のような事項を挙げています。
- 利用規約が取引条件となっていることが、利用者に対して明瞭に告知されている(申し込みボタンとともに、利用規約へのリンクが明瞭に設けられている)
- 利用の申し込みとともに、利用規約への同意クリックが要求されている
- 利用規約の内容が開示されている(いつでも容易に利用規約を閲覧できるようウェブサイトが構築されている)
規約に「禁止事項」として定められる実例
- このオンラインサロンで得た情報を、転載・引用、または他のメディアに掲載する行為
- 他の会員や当社、第三者の著作権その他の権利を侵害する(侵害するおそれのある)行為
- 民族・人種・宗教・性別・年齢などに対する差別につながる表現行為
- 公序良俗、法令違反、犯罪に結びつく行為、またはこれらの行為を助長、幇助、勧誘する行為
- 当社の承諾を得ずに、自己や第三者の商品やサービスを広告・勧誘する目的の表現行為
- このオンラインサロンを管理運営しているサーバーに、過度の負担を与える一連の行為
- 反社会勢力に対して、利益や便宜を提供する行為
他にもたくさんありえますが、会員がまだ少ないうちは、きゅうくつな印象を与えないよう、利用規約に列挙する禁止事項は最小限にしておいたほうがいいでしょう。
また、利用規約に違反したからといって、いきなり法的責任を追及するのも印象がよくありません。違反行為を見つけても最初は「注意」「警告」にとどめるべきです。サッカーの審判が出すイエローカードのようなものです。