2022年初夏、吉本興業所属のしゃべくり漫才のお笑いコンビ「囲碁将棋」が、オンラインサロンを開設したことがネットニュースを駆け巡りました。
数多くの芸人さんのオンラインサロンがある中で、囲碁将棋のオンラインサロンがこれだけ多くのメディアに取り上げられることになった理由を探っていきたいと思います。
囲碁将棋のオンラインサロンは吉本興業のweb3進出への布石?
まず、囲碁将棋のオンラインサロンと他の芸能人運営のオンラインサロンには、大きな違いがあるように感じます。
芸能人や芸人がオンラインサロンを始めるタイミングとして、事務所での仕事とは別の、自由な時間に趣味としてやっていることを中心としたオンラインサロンが多いです。
女優さんであれば、子育てや美容、ファッションジャンル。
お笑い芸人さんであれば、起業やアパレル、タレント養成スクール(話し方教室)など。
つまり、あくまでも本業のタレント活動の『副業』としてのオンラインサロン活動なのだな…という部分が透けて見えるものが圧倒的に多いです。
しかし、囲碁将棋のオンラインサロンのテーマは「漫才のネタ作り」「番組収録のオフショット」「ファンとの交流」「すでに人気があるラジオ番組の一コーナーのスピンオフ」…と、彼らのド本業をそのままオンラインサロンに移行しているものです。
そして、オンラインサロン開設時にマスコミ向けにコメントが公表されていたり、オンラインサロンのインターフェイスのクオリティの高さなど、様々な要素から推測して、それは事務所がバックアップしている事業であり、囲碁将棋の2人が個人的に行っている副業ではないと考えられます。
囲碁将棋が所属する吉本興業は近年配信やNFT等のweb3に力を入れていくことを公言しており、その一環なのかもしれません。
お笑いマニアに息長くウケている囲碁将棋のスタイル
共に高校時代、囲碁将棋部に所属していた2人。東海大学で学窓を共にし、友情をはぐくみながらお笑いのセンスを磨いて2004年にプロデビュー。
以来、賞レースにも参加しながら、華々しい結果は残すことはありませんでしたが、主にラジオ番組のパーソナリティとして着実に芸歴を深めてきた玄人好みのする芸風に定評があるコンビです。
発表される漫才には同業の芸人界から常に一定の高い評価が与えられていて、固定ファンを着実に掴んでいるそのスタイルに、有料制のオンラインサロンという新業態がぴったりとマッチする、と、吉本興業から彼らに向けて白羽の矢が立ったのも当然の流れなのかもしれません。
囲碁将棋が進めた駒は王手となるか
数十年変わることのない定番ギャグを毎日放送する傍らで、ライブ劇場所有、海外進出、アイドルや、映画、そしてインターネットや暗号資産など常に新しい事に果敢に挑戦し続ける企業としても知られる吉本興業。
囲碁将棋のオンラインサロン開設は、そうした企業の思惑と、ラジオという高い喋り技術が要求されるジャンルで虎視眈々と力を蓄えてきた中堅実力派芸人の産み出した、2020年代の芸能界の新形態への大きな変革点を打ち出す第一歩となっていくものなのかもしれません。
SNSなどに上がってくる、サロンメンバーからの感想には非常に好意的なものが多く、囲碁将棋ワールドは有料コンテンツの中で楽しさを倍増して花開いているようです。
彼らと企業の取り組みは、今後どのように結実するのでしょうか、目が離せないコンテンツの一つだと言えるでしょう。