紅麹の基礎知識
紅麴(こうじ)は、米や大豆などの穀物に紅麹菌を繁殖させて作られる発酵食品です。伝統的にアジアの食文化で使用されており、特に中国や日本では、食品の色付けや風味付け、保存性向上などの目的で利用されています。
また、紅麴にはモナコリンKという成分が含まれており、コレステロールの低下に役立つとされています。
ただし、小林製薬が販売していた「紅麹コレステヘルプ」という製品に関しては、腎疾患などの健康被害が報告されたため、自主回収が行われています。この製品に使用されていた紅麹原料に、意図しない成分が含まれている可能性があることが判明したためです。
もし「紅麹コレステヘルプ」を摂取された方で、体調不良を感じる場合は、医療機関を受診するか、小林製薬の健康相談受付センターに相談することをお勧めします。
また、対象製品の返品方法については、小林製薬の公式ウェブサイトでご確認いただけます。安全性に関する最新の情報は、厚生労働省のウェブサイトでも提供されています。
紅麹と麹の違い
紅麹と麹は、どちらも発酵食品の仲間ですが、使用される菌や目的に違いがあります。
紅麹は、米に紅麹菌(モナスクス属の菌)を繁殖させて作られる発酵食品で、その鮮やかな赤色が特徴です。
中国では古くから薬としても用いられてきました。
近年では、コレステロール低下作用が注目され、サプリメントとしても販売されています。
しかし、紅麹菌が生成する色素の中にシトリニンという有害物質が含まれている可能性があり、大量に摂取すると健康被害が懸念されます。
一方で、麹は、米、大麦、大豆などにアスペルギルス属の麹菌を繁殖させて作るもので、日本酒、味噌、醤油、甘酒などの製造に欠かせない素材です。
麹菌の酵素パワーが、食品に独特の風味とうま味を与え、消化を助け、栄養価を高める働きがあります。麹の製造過程で有害物質が生成されることはないため、安全性が高いとされています。
紅麹と麹の使い方にも違いがあります。
紅麹は着色料として、またはコレステロール低下作用を目的としたサプリメントとして利用されることが多いです。
麹は、発酵食品の製造に使われるほか、塩麹や醤油麹といった調味料としても使用されます。
紅麹と麹の違いを理解し、それぞれの特性を活かした健康的な食生活を送ることが大切です。安全性に十分注意を払い、その恩恵を存分に享受していきましょう。
モナコリンKはなぜコレステロール値を低下させる?
モナコリンKは、コレステロールの生産を担う重要な酵素であるHMG-CoA還元酵素の働きを阻害することにより、体内でのコレステロールの生成を減らす効果があります。
具体的には、モナコリンKはHMG-CoA還元酵素と非常に近い構造を持っており、この酵素に対して拮抗作用を示し、コレステロールの合成を抑制することが知られています³。
肝臓では、食事から取り込まれたコレステロールだけでなく、体内で合成されるコレステロールも存在します。
モナコリンKは、肝臓でのコレステロール合成に関わるHMG-CoA還元酵素を阻害することで、肝臓でのコレステロールの合成を抑制します。
これにより、肝臓中のコレステロール濃度が低下し、肝臓のLDL受容体活性が高まり、血液中のLDLコレステロールが肝臓に取り込まれ、血中LDLコレステロール値が低下するというメカニズムです。
さらに、紅麹を摂取することでモナコリンKが体内に吸収され、その結果としてLDLコレステロール(悪玉コレステロール)とHDLコレステロール(善玉コレステロール)のバランスを改善し、LDLコレステロール値を低下させることが示されています。
ただし、モナコリンKを含む紅麹製品を使用する際には、適切な量を摂取することが重要です。過剰な摂取は健康被害を引き起こす可能性があるため、使用する際には注意が必要です。