【膠原病】とは、自分の体を守るはずの免疫システムが誤作動して、自分の組織や臓器に攻撃をしてしまう病気の総称です。
膠原病には、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症など、30種類以上の病気が含まれています。これらの病気は、皮膚、骨、血管、内臓など、体のあらゆる部分に炎症や変化を引き起こし、様々な症状をもたらします。
痛みやこわばり、発熱、倦怠感などの全身症状や、発疹、レイノー現象、目や口の乾燥などの局所症状が見られます。また、重症化すると、肺や腎臓、心臓、神経などの重要な臓器に障害が起こり、生命に危険を及ぼすこともあります。
膠原病の原因は、完全には解明されていませんが、遺伝的な素因と環境的な要因が複合的に関与していると考えられています。
遺伝的な素因とは、膠原病になりやすい体質を持っていることを意味します。
環境的な要因とは、喫煙、歯周病、粉塵吸入、ウイルス感染、紫外線への曝露など、膠原病の発症や再燃に影響を与えるとされるものです。
これらの要因が、本来は体外の異物に対して作動する免疫システムを誤って自分の組織に向けさせることで、膠原病が引き起こされます。
膠原病の治療は、自己免疫と炎症を抑えることを目的としています。
そのために、免疫抑制作用や抗炎症作用のあるステロイドや免疫調節薬、免疫抑制薬などが用いられます。また、病気に直接関わる免疫細胞やサイトカインなどに対してピンポイントで作用する分子標的療法も開発されています。
これらの治療により、膠原病の症状や臓器障害の進行を抑制することができます。
しかし、膠原病は完治する病気ではなく、一度よくなっても再び悪化する可能性があります。
そのため、最小限の治療を長期間続けることが必要です。
また、個々の臓器の障害に対しては、対症療法も行われます。
膠原病の予防法は、残念ながら、現在のところ確立されていません。
しかし、膠原病の発症や再燃に関係するとされる環境的な要因を避けることは、予防に役立つと考えられます。
具体的には、喫煙をやめる、歯周病の治療を受ける、粉塵の多い場所を避ける、ウイルス感染を予防する、紫外線を遮るなどの対策が挙げられます。
また、膠原病の初期症状は、風邪や胃腸炎などの一般的な病気と似ていますが、長く続く場合は膠原病の可能性があります。
早期発見、早期治療が重要ですので、症状が持続する場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
膠原病は、自分の体を攻撃する免疫の異常によって引き起こされる病気です。
様々な症状や臓器障害をもたらすことがありますが、治療の進歩により、多くの患者さんが通常の生活を送ることができるようになっています。
膠原病の予防法は確立されていませんが、環境的な要因を避けることや、早期発見、早期治療を心がけることが大切です。
膠原病について正しい知識を持ち、適切な治療を早期に開始することは重要ですね。
