オンラインサロンとは、インターネット上に構築されて、基本的に有料で、特定の目的で希望者のみが参加する非公開のコミュニティです。
他にも、いろいろな表現をする人がいます。
塾やサークル活動、パーティなどの集まりを、ネット上に拡張させたものだという人もいます。
かつて流行した、パソコン通信の「フォーラム」の進化形だという人もいます。
大手出版社・幻冬舎に勤めながらも、独自のオンラインサロン「箕輪編集室」を運営している書籍編集者、箕輪厚介さんは、オンラインサロンを指して「未来の会社の原型」だと表現しました。
オンラインサロンには、どのような可能性や未来が開けていると考えられるのでしょうか。
プロジェクトごとに必要なチームを組む
現在の会社は、従業員を「雇用」することを前提にして動いています。毎月決まった給与を支払い、毎年納税をする代わりに、会社の業務命令に従って働いてもらうわけです。
しかし、命令に不満があっても逆らえないので、従業員はストレスを溜めやすく、やる気も削がれて労働生産性も下がるおそれがあります。
また、会社は従業員に対して不満を抱えても、法律上、そう簡単に解雇できないようになっています。よって、会社にとっても従業員にとっても、柔軟な生産活動をしにくく、無駄も増えやすい欠点があります。
その一方で、オンラインサロンには特定のテーマで、みずから身銭を切って参加しているほどモチベーションの高いメンバーが集まっています。
もし、サロン内で進めていきたいプロジェクトがあれば、そのプロジェクトの性質ごとに、適材適所の精鋭メンバーが、小さなチームを組んで推進していくほうが効率的な場合が多いです。そして、プロジェクトが完了したら、そのチームを解散させるのです。
サロンとメンバーの間に雇用関係はありませんので、チームから抜けたり、新たに別のメンバーが加わったりすることも自由です。
これが、箕輪さんの表現する「未来の会社の原型」の意味と考えられます。
実際に「箕輪編集室」では、主催者の箕輪さんのアイデアを形にするプロジェクトチームが、いくつも同時並行的に立ち上がっています。
やりがい搾取にならないよう注意
ただし、チームメンバーには専門家としてそれぞれの立場を尊重し、正当な報酬を支払わなければなりません。
一部のオンラインサロンでは「会費を払って、さらにボランティア活動させられる」と、その「やりがい搾取」ぶりが厳しく批判されることがあります。それがオンラインサロン業界全体のイメージを下げているのです。
「会社の原型」である以上は、そのプロジェクトチームにタダ働きさせてはいけません。もし、人件費に充てる予算が不足していれば、他のメンバーからカンパを募ったり、クラウドファンディングで外部からも寄付を集めたりする方法もあります。そのあたりの柔軟性も、オンラインサロン内プロジェクトの魅力です。